前田は、2022年公開の映画『もっと超越した所へ。』で主演することが発表された。ちなみに10月13日に発売された初のフォトエッセイ『明け方の空』も話題に。
AKB48卒業から9年目を迎えた2021年1月、事務所から独立してフリーランスとなり、幅のある活動を展開している。
一方の大島は卒業から7年目。NHK連続ドラマ小説『スカーレット』で共演した林遣都と結婚し、NHK大河ドラマ『青天を衝け』への出演も決まった。
現在では「元AKB48」と称されることもほとんどなくなり、ひとりの役者としてしっかり評価されている前田、大島。
今回は、彼女たちの充実した昨今の活動について触れていきたい。
前田敦子のすごさは、あえて何もしない演技
前田はAKB48在籍時代から女優としてピカイチの演技力を誇っていた。
筆者は今でも、市川準監督が手がけた『あしたの私のつくり方』(2007年)で受けた衝撃が忘れられない。
クラスの人気者から転落した少女の感情の挫折をみて、胸が締めつけられた。
「こんなに繊細な芝居ができる人だったのか」と感嘆し、「アイドル・前田敦子」以上に、「女優・前田敦子」に注目するきっかけになった。
その後の前田の演技はさらに磨かれていく。彼女のすごさのひとつは、「あえて何もしない演技」だ。
前田主演作『もらとりあむタマ子』(2013年)の山下敦弘監督は各インタビューで「ただ立っているだけの芝居が本当はものすごく難しい。
でも前田さんはそれができる」と語っていたが、確かに前田は妙に意味付けたり飾り立てたりする動作をおこなわない。
そんな前田は2021年、あらたな名演をみせた。
松居大悟監督の『くれなずめ』(2021年)だ。
主人公らの同級生で厳格な委員長になりきった前田。ゴミの分別をしない生徒に向かって怒鳴り散らす場面が圧巻で、ブチギレすぎて声のキーがおかしくなっている。
これは、前田にしかできない芝居のように感じた。頭に血がのぼって爆発すると人はこうなってしまう、という様子を完ぺきに再現した。
大島優子は意識的にアイドル性を消してきた
大島優子は子役時代からドラマなどに出演。
『D×D』(1997年/日本テレビ系)では仲間由紀恵演じるヒロインの幼少時代の役もつとめた。
以降はアイドル活動に力をいれるようになり、一度は女優業を封印。
しかし雑誌『Quick Japan Vol.87』(2009年)でのインタビューによると、AKB48のシングル曲「軽蔑していた愛情」(2007年)のミュージックビデオ撮影時、屋上から飛び降りる直前で踏みとどまって泣き崩れる役に挑んだことで、「本気で女優をやろう」と思いが再燃したという。
映画『闇金ウシジマくん』(2012年)では、母親の借金を肩代わりし、返済のために出会い系カフェで働き始める女性役。
薄幸なキャラクターを見事に自分のものにしており、『スイートリトルライズ』同様、良い意味で「アイドルらしからぬ」という言葉が似合う演技だった。
極めつけは映画『紙の月』(2014年)だろう。
彼女は、宮沢りえ演じるヒロインをいくつかの言葉で破滅の道へと向かわせ、観る者の感情をざわつかせるOLに扮した。
吉田大八監督は「人間離れした悪魔的な雰囲気を求めていた」と起用経緯を語り、「大島優子は映画の切り札=ジョーカー」と賞賛した。
大島はアイドル時代、演技のときは自覚的に「アイドル性を消す」と語っていた。
清純なキャラクターではなく、いわゆる「汚れ役」を数多くチョイスしてきたのも、その気持ちのあらわれかもしれない。
2021年に出演したドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)や『正義の天秤』(NHK)、映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』など各作品では、いずれもバイプレイヤーとして良い味を出している。
役者としての自分のポジションのひとつを固めつつある。
前田、大島ともに公私の環境が変化したことで、これまでとはまた違った展開が期待できるのではないだろうか。
そんな彼女たちを追いかける、元アイドルたちのこれからの奮闘も楽しみだ。
全文
http://news.yahoo.co.jp/articles/47b9d283eac35bc54d21b88fcd194310c78b9290
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Source: 地下帝国-AKB48まとめ