ーーあと、いわゆるAKB48を中心にした女性アイドルシーンに関しては、秋元康さんの影響力が強いというのはあるかもしれないですね。
僕は直接インタビューで聞いたことがあるんですけれど、秋元康さんは音域に関しての持論があって。原体験が鹿児島の漁港のスピーカーだ、と。
後藤:僕もその話、聞いたことがあります。トシちゃん(田原俊彦)ですよね。
ーーそうそう。田原俊彦の「NINJIN娘」が鹿児島の漁港の割れそうなスピーカーで鳴ってるのを聴いて「これがポップスなんだ」と実感した、と。
だからAKB48の制作でもエンジニアとかディレクターに「いい低音が鳴ってるでしょう」って言われると僕は全部下げるんだ、って言っていた。
後藤:それに関しては明確な反論が一個だけあって。今や漁港のスピーカーで音楽を聴いてる人はほとんどいないんですよ。鹿児島の漁港であっても、今の人はiPhoneにイヤホンで聴いてるから。
もちろん、かつてはそういう時代もあったかもしれない。80年代にはラージスピーカーとラジカセを両方使ってチェックしていたと聞きました。でも、今はそういう時代じゃなくなってきちゃった。
ーーですよね。安価で高音質なイヤホンも増えたし、ポップミュージックの最終的なアウトプットのあり方が変わってきた。
https://realsound.jp/tech/2019/02/post-316161_2.html
だから、逆にヘッドフォンとかイヤホンでトラックを作ってる人の方がフラットな音響を獲得してて、バンドがスタジオで録るよりも音がよかったりする。
特に日本だったら、ヘッドフォンでやってる子達が先に革命を起こしてるんじゃないかな。僕らは遅れてたんです。
まずリスナーとしての自分がそれに気付いた。Spotifyで聴いたら違いがわかるわけで。「あれ?」みたいな。ひょっとしたら、みんな同じようにハッて気付いたのかもしれないけど。
ーーそういうタイミングが去年ぐらいから訪れているような実感がある。
後藤:はい。だから、エンジニアもみんなモニタースピーカーを買い替えてますよ。今は転換期だから、この変化に対応しなきゃいけない。
どこに行ってもみんな低音聴いてますよっていう状況だし、聴かれ方も変わったから、サブスクリプションでの音の出方にも対応しなきゃいけない。
それは望ましいことだと思いますし、絶対、これから音は良くなると思う。
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Source: 地下帝国-AKB48まとめ