この連載では日本のヒットチャートについて書いてきたので、これには言及しないといけない。
J-POPとK-POPの違いについてだ。
まず根本的に違うのは、J-POPでは歌を乗せるためにビートが存在するが、K-POPではビートと歌が同時に補完し合いながら鳴っている。
分かりやすく言えば、J-POPは、はっきりと歌を押し出していて、K-POPはリズムと歌で曲を押し出している。
K-POPが勝負をしているグローバルチャートでは、ヒップホップやEDM、R&Bだらけで、基本的にAメロ、Bメロ、サビのような、明確な展開はない。
代わりにリズムとメロディーの反復、しかもコードもあまり変わらないことが多いのだ。
逆にJ-POPは、明確にメロとサビが分かれているし、Aメロ、Bメロで盛り上がりを作り、1番の聴かせどころをサビにするパターンがほとんど。
だからJ-POPはサビを聴かないと曲が分からないし、といって頭をサビにしても、
メロからの盛り上がったサビを聴かないと、曲の良さが分からない。
長めに聴かないといけないのだ。
しかし、K-POPのようなUSサウンドは役割分担がされていないため、どこを聴いても曲の良さが分かる上に、リズムが立っていて乗りやすい。
まさにサブスク全盛期の今、BGMにもしやすいサウンドがトレンドなのだ。
実際、BTSの事務所の日本法人であるBig Hit Entertainment Japanの日本在住プロデューサー募集の応募要項には、
「メロディーが鮮明で、ダイナミックな流れの起承転結がはっきりとした、定型化された曲の構造の音楽デモはご遠慮ください」と書いてある。
これは暗にJ-POPはご遠慮くださいということだ。
BLACKPINKの『How You Like That』もリズムと歌が合わさって、1つのメロディーになっている。
他のアルバム収録曲を聴いてもJ-POPのように定型化された曲がない。
リリース間隔を空けても存在感
また、BLACKPINKは、リリースペースがかなりゆったりだ。シングルとシングルの間が1年も空いたりするこのやり方はカムバック商法というらしいが、
ファンを焦らして、次のリリース時に熱狂を生み出す。誰にでもできることではない。
このキャラの立った4人だからこそできるのだ。配信主体になった現在の音楽シーンではリリースペースがどうしても速くなる。
配信はCDに比べ手間も少ないし、早く出さないと飽きられるかもという不安もあるからだ。
そんななかリリース間隔を長く空けながらも、存在感を増していくBLACKPINKというグループは驚異的だ。
BLACKPINKやBTSが米ビルボードにランクインし、K-POPは世界が認める音楽ジャンルとなった。
今作でも、セレーナ・ゴメスやカーディ・Bといった世界的スターとコラボし対等に渡り合っている。
K-POPはアジア圏のアーティストに光を与えてくれた。これでJ-POPもどう変わっていくのか。
僕もBig Hit Japanの日本在住プロデューサー募集の応募要項を見て考えることがあった。
J-POPがダメだとかではないが、これでは世界で戦えない。変化の時が来ている。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO67233540R11C20A2000000/
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Source: 地下帝国-AKB48まとめ