だが、その売上はコロナ禍における日本の女性アイドル業界の苦境を象徴するものだった。
1月26日付オリコンデイリーシングルランキングによると、「僕は僕を好きになる」の初日売上は約45万枚。
翌日の売上も約7万枚だ。十分すぎる数字に見えるが、これまでの乃木坂46と比較するとそうとも言えない。
ひとつ前のシングル「しあわせの保護色」(2020年3月25日発売)は初日だけで81万枚の売上を記録している。
10カ月ぶりのリリースで売上が半減と考えれば、衝撃の数字である。
最も大きいと思われるのが、やはり「握手会」が失われたことだ。
乃木坂46など坂道シリーズのグループはリリースの数カ月前からウェブサイト・forTUNE musicを通じて握手券付きのCDを予約する仕組みになっている。
「しあわせの保護色」のCD予約が始まったのは1月30日から。
当時はまだ新型コロナの影響が深刻化していない状況であり、握手券付きCDも通常通り売れた。
しかしその後、コロナの感染状況は悪化。人がたくさん集まるイベントは開催できなくなってしまった。
特に握手会は、タレントとファンが直接接触するという性質上、開催のハードルがコンサートや舞台以上に高い。
結果的に、春から夏にかけて開催予定だった「しあわせの保護色」の握手会は延期となり、代替イベントとして、オンラインでファンとタレントが直接話す「ミート&グリート」が開かれた。
「僕は僕を好きになる」は最初から握手会ではなくミート&グリートを特典にしているが、直接会えないイベントではファンの購買意欲も湧きにくいかもしれない。
乃木坂46の場合、昨年10月に白石麻衣がグループを卒業した影響も大きいだろう。
ここ数年、乃木坂46からは生駒里奈、衛藤美彩、桜井玲香、西野七瀬、橋本奈々未、深川麻衣、若月佑美といった主要メンバーが相次いで卒業。グループの世代交代が進んでおり、人気を維持するのが難しい時期にある。
乃木坂46がここまで売上を落としてしまったのはなぜなのか。楽曲やパフォーマンスに問題があるのか、メディア展開やプロモーションに問題があったのか、ファンとのコミュニケーションのあり方に問題があったのか──
これまでの活動を検証し直す必要があるかもしれない。
https://wezz-y.com/archives/86323
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Source: 乃木坂46まとめの「ま」