総務省の違法・有害情報相談センターには2021年度、ネット上の誹謗中傷被害に関して6329件の相談があり、10年前の約4倍に増えた。
特に著名人を標的とした中傷は、数が増えやすく、被害も深刻だ。
■仕事の相手先に「なぜ起用するのか」
20年にはフジテレビの番組「テラスハウス」に出演したプロレスラーの木村花さん(当時22)が、ネット上の匿名の中傷に悩み、命を絶った。
「殺してやる」「生きている価値がない」……。元アイドルの荻野さんも「アンチ」とみられる匿名のネット投稿に悩まされてきた。
テレビ局などにも「なぜ起用するのか」といったクレームが多数入るため、仕事は激減。「もう人生、終わった」と思い詰め、食事がのどを通らない時期もあった。
■「早い段階でのアクションが重要」
制度改正が進んだことについて、荻野さんは「法的に反撃しやすくなる」と歓迎する。
芸能活動にまつわる法的問題に詳しい河西邦剛弁護士は「芸能人、特にアイドルに関するネガティブな情報は、臆測とうわさが加わり、ネット上で雪だるま式に膨れ上がるのが特徴だ」と指摘する。
SNSに上がった情報が、いつの間にか事実であるかのようにとらえられ、長期的な被害につながる例が多いという。
岡崎女子大学の花田経子講師(情報セキュリティー)は「早い段階で加害者に対するアクションが重要になる」と指摘する。
プロバイダー責任制限法の改正では、訴訟以外の手続きで、裁判所が事業者側に投稿者情報の開示を命じられるようになり、1年ほどかかっていた開示までの期間が数週間から半年程度に短縮される見込みだ。
花田さんは一般の人など、法的措置をすぐに取ることが難しい場合については、ネット企業が運営するセーファーインターネット協会の「誹謗中傷ホットライン」などを利用してほしいという。(小松隆次郎)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b45eb21f90fc751487ac712dc6e576f362573d7
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